ロベール・ルパージュ「887」

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記憶とは、その人に刻まれた歴史のアーカイブ。同時に、どう記憶するか、という点においてその時感じた感情や経験に意味性を持つ。

個人の記憶だけでなく、時代の歴史をどう記憶するか。ロベール・ルパージュの「887」は、まさに個人と社会の記憶を、現代も過去を往復しながら呼び起こすものだった。

さらに、そこに国の成り立ちや民族的な観点が帯びたとき、そこに時代としての記憶が浮かびあがってくる。

まさに、激動の時代を生きる僕たちにとっても、未来のためにいま起きていることをどうアーカイブしていくか、どう伝えていくか、その重要性を説くものにもなっている。

歴史は、まさに個人の記憶の積み重ねのなかに、時代としての記憶が刻まるものでもある。

スマートフォンやプロジェクション、リアルタイム映像などのさまざまな映像テクノロジーを駆使し、時代を行き来しながら一つの小さな舞台の上で縮尺も行き来した表現方法に、引きこまれた。

自伝的な一人語りを、巧みな舞台演出で描いた舞台。記憶をテーマに、個人とかつてのカナダの時代を描いた内容に、2時間という夢物語に没入できる舞台だった。

http://www.geigeki.jp/performance/theater120/