日常をパブリックにしていくことの問題を投げかける映画「WE LIVE IN PUBLIC」が日本で初公開される

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1990年代。まだインターネット黎明期の頃に活動していた、ジョッシュ・ハリスという人物がいる。

彼が10年以上前に、日常生活24時間をネットですべて公開する社会実験を行った。その社会実験は、彼の道楽なのか、それとも、インターネットの可能性を追求するための取り組みだったのか。

ビルの地下に無料で人を住まわせ、その様子をあらゆる角度のカメラで捉え、ネットで中継するという、いまでいうところの「ダダ漏れ」を行っていた。

はじめは、誰もが見られていることを意識しつつも、次第にたがが外れ、やりたい放題になっていく。仕掛け人であるジョッシュ・ハリスも、パートナーに対して次第に強い口調でやりとりをするようになる。その過激なやりとりに、視聴者は興奮し、コメントを書き込みその様子を煽りはじめる。

この二人の生活の様子も含めた実験は、100日限定で公開する予定が、パートナーとの破局や警察などの立ち入りにより途中で頓挫するようになる。

10年以上前に行われた一連の出来事は、ネットが普及し、誰もがソーシャルメディアで投稿し、プライベートとパブリックの境目が曖昧になっていまの時代に生きる私たちにとって考えさせられるものが多いかもしれない。

そこには、テクノロジーの進化と情報社会がもたらす多様な面を映し出すものであり、人間がテクノロジーとどう向き合っていくべきかを考えさせられるものになっている。

そのドキュメンタリーフィルム「We Live in Public」が日本で初公開され、7月17日に一日限定で上映される。2009年サンダンス映画祭で審査員大賞ドキュメンタリーを受賞し、MOMAニューヨークの永久所蔵作品となった本作品が、日本語訳ととも日本で上映することとなった。

http://www.weliveinpublic.jp/

インターネットが登場して20年以上が経ち、ネットがもはやオンラインだけでなく現実の私達の生活においても切ってもきれない関係になりつつあるなか、両手をあげてインターネットを喜ぶだけでなく、その功罪などネガティブエフェクトについても改めて考えなければいけない。

そうしたきっかけとして、このフィルムは大いに参照されるべきものになるだろう。